UO日記


by keropu
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カテゴリ:■小説( 6 )

クリスマスのうた


「聖夜」

ゆきが
おとを
つつむ
静かな 夜に
Silent night

ママが
ぼくに
いうの
今夜は 特別な
Holy night

ぼくは
ママに
きくの
聖夜って なあに?

せかい
じゅうが
聖なる 
夜を 祝うのよ

へやを
かざり
灯りを
ともし
ご馳走を 食べるの

ぼくは
悲しく
なって
ためいきを つくの

ぼくの
うちは
飾りも
ご馳走も ないんだね

ママは
微笑み
ぼくを
抱きしめて 言うの

まどの
そとを
ごらん
山のふもとの 村を

やみに
家々の
灯りが
瞬いて 綺麗でしょう?

ゆきに
にじむ
ひかり
天然の クリスマスツリー

そして
そこに
美味しい
ご馳走も あるのよ

ぼうや
聖なる
よるの
食事に 出かけましょう

ひとの
おにく
ひめい
それが 僕達のごちそう

そして
すぐに
むらに
訪れる Silent night


******



というわけで、クリスマスイブなのでクリスマスのうたを載せます。

これは最近、クリスマスイベントにお呼ばれした時に歌っている
うたです。作成時間15分。

UOで小説を3つ、うたをいくつか書いていますが全部人狼に関する
ものです。UOで書くものは人狼のもの、と言う縛りを自分に課して
いるからです~。

ここ数日、ブログを書く間も惜しんでツリー育成の奉納をしています。
頑張ってます、みなぎってます!

大和は相変らず決まった小数の人間しか動いていないように見えます。
もっと大勢の人が頑張れば1位も取れると思うのですが惨敗中・・・。

明日が奉納最終日なのであとちょっと頑張ります~。

寄付金も9Mほど集まり、そのお金で色々な物を買ったりして
頑張っていますので、大和の皆さんはぜひご協力を!
              
               UO ウルティマオンライン
by keropu | 2008-12-24 04:21 | ■小説

【小説】 深緑の森 5

「ウォルフ!」

叫び声に三人が驚いたように振り返る。

尋常ではない様子で立ち尽くしているアラバマが、その手に握っているものを見たウォルフは

「ほう」

と言うとみるみるその姿を恐ろしい化け物へと変えた。

悲鳴があがり他の家族が飛び出してくる中、怪物がそばに居たケイに襲いかかる。突き倒したケイの胸に前足を乗せて、ウォルフは吼えるように笑った。

「おまえに俺が殺せるのか アラバマ」

挑むようにそう言ってケイの喉元に牙を向けた時、アラバマが飛びかかって聖水をぶちまけた。

怪物は撃たれたように弾き飛ばされ、凄まじい咆哮をあげながら地面へと倒れた。


アラバマは、苦しげに呻く怪物のそばへゆっくりと近づいて行った。

横たわり虫の息で浅く呼吸をするウォルフを立ったままじっと見下ろす。

その時、彼女は初めて自分を見上げる怪物の目が深い緑色だと気づいた。

深緑の瞳の中に自分が映っている。
まるで森の中にいるように。
アラバマは崩れるように膝を付いた。
いつも見守っていてくれたのはこの眼なの?
小さな私が唯一安心できる深緑の森はこの瞳の中だったの?

「おまえを連れて行く気は無かった。途中の村のどこかで置き去りにするつもりだったんだ」

苦しそうにうめきながらウォルフが言った。

「だが おまえが離れなかった。置いて行こうとしても泣きながらしがみついてくるんだ」

怪物の口から血が溢れ出し
座り込んだアラバマのスカートを赤く染めてゆく。

「怖がらせるために腕に咬み付いたのに、それでもおまえは泣きながら咬んだこの私にすがりつくんだ」

そう言って、笑っているのかうめいているのかわからないような声を漏らした。

「馬鹿な人間の子供だ」

そして怪物は、静かに深緑の眼を閉じた。

                    ж

「あなたのご両親は あまり良い親とは言えなかったの」

セスが抱えるようにしてアラバマを家の中へ連れて行き、母親が暖めたミルクを差し出しながら言った。

「子供に関心がなくて・・・。まだ若かったし・・・自分達だけで遊び歩いていたようだった」

アラバマはペンダントの蓋を開けて中の写真をじっと見つめた。

「まだ小さかったあなたを一人ぼっちで家に置いて、よく二人で出かけていたの。そして」

言いにくそうにアラバマの首の辺りを見ながら

「鎖か何かでつないでいたようだった。私達は子供を手放すようにあの二人に何度も言ったのよ」

子供部屋の箪笥の上にあった首輪と鎖を思い浮かべる。あれは犬を飼ってたわけじゃなく私を繋ぐ為のものだったのだ。この首の痣はウォルフが繰り返し話していたような理由でついたのではなかった。

「父親の方は暴力を振るっているようだった。よく子供の泣き声がしていて・・・」

写真の二人は幸せそうに笑っている。
でもそこに自分は写っていない。
私は虐待され 放置された子供だったのだ。

そしてある日人狼の群れがやってきて、犬のように鎖につながれた子供を見て気の毒に思い、殺さずに連れて行った。小さな私は怪物にまで同情されるような人生を送っていたのだ。

「その首の痣は私がお前をさらった時につけたものだ」

何度もそう私に言い聞かせていた深緑の眼をしたウォルフ。

腕にこんなに酷い傷が残るほど咬まれたのにそれでも化け物にしがみついた私はどれほど愛情に飢えていたのだろう。

「あの日子供を殺さずにさらっていった人狼は群れから離れたようだったよ」

母親がアラバマをそっと抱きしめた。

「人間の子供、ましてや自分達を殺す事のできる祈祷の能力を持った子を連れて歩くなんて、他の仲間からは許されるはずが無かったんだろうね」


夢の中で懐かしい匂いに包まれていた時、ずっと欲しかったものが手に入った喜びでいっぱいだった。

ちっちゃな少女が欲していたもの 
それはほんの少しの愛情だった
それがたとえ怪物が向けた
ただの気まぐれ程度のものだったとしても

生まれてから一度も愛された事の無い子供が必死ですがりつくだけの愛を向けてくれたのは、世界中でウォルフただ一人だったのだ。

「さっきウォルフが帰ってきた時、あなたを置いて自分だけここを去ると言っていたのよ」

ケイが泣き腫らした目でアラバマを見た。

「あなたをよろしく頼むと言って出て行こうとしていたの」

あの森はこの世に存在しない森だった。

私が唯一安心できる深緑の森は 
怪物がゆっくりとその眼を閉じた時に
永遠に無くなってしまった

完              

               UO ウルティマオンライン
by keropu | 2008-10-10 18:33 | ■小説

【小説】 深緑の森 4

雑貨屋のドアの所にウォルフが立っているのが見える。

「大変!ウォルフが帰って来てる」

アラバマが慌てるのを見てケイが笑った。

「彼は随分過保護なのね。あなたと彼は うーん・・・恋人なの?」

思いも寄らない事を言われて呆然としていると「ああ 違うのね」
と言ってにっこりした。

「だってほら ウォルフって・・・ちょっと素敵じゃない?」

ぽかんとしてると、顔を赤らめたケイが急いで付け足す。

「セス兄さんも喜ぶわね 兄さんあなたのこと好きみたいよ」

アラバマは更に呆然としてその場に立ち尽くした。

                    ж

「何処に行っていた。うろつくなと言った筈だ」

「買い物に行っただけ」

凍り付くような視線を感じながら、俯いたままそう言うと、ウォルフが覆い被さるように屈んで耳元に口を寄せた。

「う ろ つ く な と言った筈だ」

その息からかすかに血の匂いがした。

                    ж

自分が約束を破ったせいでこの家族が襲われるかもしれない、と怯えながら数日を過ごしたが、何事も無く平穏な日々は続いた。

ある晩またウォルフが出かけて行き、少し落ち着きを取り戻したアラバマが皆と夕食をとっていると、思い出したようにケイが言った。

「この間アラバマに、この村が人狼に襲われた事があるって話をしたのよ。ほらあの気味の悪い屋敷の前を通ったから」

「たしか若い夫婦が住んでいたんだよな」

兄のセスが言った。

「小さな子供も居たんだよ」

父親が気の毒そうに頭を振った。

「へえ それは知らなかったな。その子も殺されたの?」

「いや 人狼の一匹に連れ去られたんだ。どの道すぐに食い殺されてしまっただろうがね」


その夜ベッドに入ってもアラバマは中々寝付けなかった。

(若い夫婦が住んでいた)
(あの屋敷の子供が人狼の一匹に連れ去られた)

先程の夕食の席での会話が何度も甦る。
ウォルフはこの村に来た時、あの屋敷を見てすぐに出て行こうとした。
まさか・・・・まさか・・・?


結局眠れないままうっすらと夜が明けてきた。
やはりどうしても確かめておきたい。

アラバマは、誰も起き出してこないうちにそっと家を抜け出して、朝霧の中をあの屋敷へ向かった。

                    ж

頑丈な蔦が絡まって開かなくなった門をよじ登り、処々雪の残った庭を横切って玄関のドアをそっと押してみると、ドアは蜘蛛の巣を壊しながらゆっくりと開いた。

家の中はめちゃめちゃだった。

人狼が暴れまわった為なのか。それとも長年空き家のうちに、目ぼしい物を盗みに入った泥棒の仕業なのだろうか。

何か自分と繋がる物、ペンダントの写真に写る二人が住んでいたと確認できるものさえ残っていれば。アラバマは広い屋敷の中にいくつもあるドアを次々と開けていった。


ここは子供部屋だ。
ドアを開けてすぐにわかった。

小さなベッドと箪笥がある。
床にちっちゃな靴下が片方落ちている。

犬を飼っていたのか、首輪と鎖が箪笥の上に置いてあった。
しかしその部屋は子供部屋というにはあまりに殺風景だった。
おもちゃも絵本も何も無い。
子供の成長してゆく写真の数々も1枚も飾られていない。

部屋を見渡しても、ここが自分の部屋だったという記憶は呼び起こされない。

仕方なく他の部屋を探す。


そこは夫婦の寝室のようだった。
ベッドは引き裂かれ中の綿が飛び出している。

足元にガラスを踏む感触を感じて目を落とすと、写真立てが割れて落ちているのを見つけた。拾い上げると、そこにはペンダントの二人が幸せそうに笑って写っていた。


やっぱりここは私の家だ。
この村は私の生まれ故郷だったんだ。

ウォルフがこの家で幸せに暮らしていた両親を殺し、小さい私を連れ去ったのだ。あの怪物さえ来なければ、ここで私はすくすくと普通の少女として育っている筈だった。それをあいつが全て奪い去った。怒りと悲しみで震えながら、もっと何か無いかと家の中を探し回った。


その部屋は一風変わった雰囲気に包まれていた。

奥には祭壇のようなものがあり、部屋の中央にある机には水晶玉らしき物が置いてある。壁には干からびたニンニクがぶら下がっていた。

ここも他の部屋と同じように荒されて散らかっていた。
床に凝った形の小瓶が割れて落ちている。
そばには動物の毛のようなものが沢山散らばっていた。

祭壇へ近寄ってみると、同じ小瓶がいくつか置いてあった。
どれも空だが一本だけ中身が入っているものがある。

手に取って中を透かして見ると、きらきらと光る粉が溶け込んだ透明の液体が入っている。

アラバマはそれを服のポケットに入れた。

                   ж

「何処に行っていたの 心配したよ」

雑貨屋に戻ると、いつも皆より早く起きて朝食の支度をしている母親が、湯気の出る鍋をかき混ぜながら振り返った。

「ちょっと散歩を・・・」

そのまま一緒に朝食の支度を手伝ってテーブルに皿を並べながら、アラバマは屋敷について聞いてみた。

「あそこはこの村で一番大きなお屋敷だけど何か特別な家なのですか?」

「ああ あの家は代々祈祷師の家系なのよ。先代が早くにお亡くなりになったけど、娘さんがかなり強い能力を継いでいてね。婿に来た旦那さんは普通の人だったけど、生まれた女の子はきっと母親の血筋を引いていたでしょうね。もう人狼にやられてその血も途絶えてしまっただろうけどねえ」

「祈祷師なのに人狼に殺されてしまったんですか?」

「いえ 一匹は退治したのよ、あの時は群れで襲ってきたからね。人狼というのは何匹かの群れで行動するものだから。1匹に聖水を浴びせて始末した後、他の奴らにやられてしまったのよ むごい話だよ」

                    ж

この聖水であいつを殺せる。

部屋に戻ったアラバマはポケットから小瓶を出して見つめた。
私にはその能力がある。
誰にも倒せない醜いモンスターを殺す能力が。
自由になれるんだ やっと。

そのとき窓の外にウォルフが帰って来たのが見えた。
父親とケイの3人で何かを話している。
父親はうろたえているようだったし、ケイは泣いているようだ。
どうしたのか気になったがそんな事はもうどうでもいい。
アラバマは小瓶を持って外に飛び出した。

つづく
               
               UO ウルティマオンライン
by keropu | 2008-10-10 04:05 | ■小説

【小説】 深緑の森 3

家の中には男の両親らしい中年の夫婦と、何人かの若い男女が夕食の準備をしていた。

「親父とお袋 それに兄と二人の妹達だ」

腹をすかせた怪物を招き入れたとも知らず、善良なその家族は親しみを込めた笑顔で二人を歓迎した。

「すぐに熱いシチューが出来るから そこに座って待っていて頂戴ね」

部屋は充分暖かかったが、いつウォルフが化け物に変身してこの人達に襲い掛かるかと思うと震えが止まらなかった。それを見た黒髪の少女が暖炉に新しい薪をくべてくれた。

「大丈夫?ずいぶん震えて。濡れた服を着替えるといいわ」
「私の部屋にいらっしゃい、合う服があるか見てみましょう」

アラバマは黙って首を横に振った。

自分が席を外した途端に、残った人達に襲い掛かるかもしれない。
そう思うと足がすくんで動けなかった。

「そうさせてもらいなさい 大丈夫だから」

ウォルフが意味深な笑みを浮かべてそう促した。

大丈夫?大丈夫とはどういうこと?

半ば引っ張られるようにして黒髪の少女に連れて行かれながら、アラバマはウォルフを何度も振り返った。

いつも羽織っているマントを脱いでいる。
フードをかぶっていない姿を見るのは何年ぶりだろう。
すぐに襲うつもりが無いのだろうか。
声を掛けてくれた男と談笑している。
大丈夫なの 本当に?


着替えて戻ってきても、そこは血の海というわけでは無かった。

テーブルには湯気の出ているおいしそうなシチューが並べられている。ウォルフは大人しくそのシチューを食べ、出された酒を飲み、そして何事も無く夜は更けていった。

                    ж

「これはすごい!一体どうやって見つけたんだ?」

誰かの叫ぶ声でアラバマは目を覚ました。部屋の窓から外を見ると、ウォルフと若い男が何かを手に持って話をしている。

「ウォルフさんが珍しい薬草を採ってきてくれたよ」

他の家族もその声に集まってきた。

「人の入っていけないような森の奥深くにしか生えていないのに」
「それにこの時期は雪が積もって、探すのだって一苦労だ」

「いやなに 長い事旅をしているとそういうものを見つけるコツが身に付くのだ。」

ウォルフが愛想よく言った。

「なにしろ大抵は森の中で野宿の生活だからな。泊めてくれたお礼だよ」


天気が回復するまで泊まっていくといいと誘われるままに、ウォルフはその家に身を置き、たまにふらりと森に出かけては店で売る薬草や、食料になる鹿やウサギを獲ってきた。

アラバマは雑貨店を手伝いながら、一向に人を襲う気配の無いウォルフを不思議に思っていた。

こんな事は初めてだ。
もう2週間もここに居る。

数日のうちに人を何人も襲ってすぐにその村を後にすると言う生活を、物心ついた時からずっと繰り返してきたのに。

                    ж

2週間が1ヶ月になり2ヶ月になり、暖かい日差しが雪を溶かし始めても平穏な暮らしは続いた。

ただ、ウォルフに村の中をうろつくなと言われていたので、村の外れにある雑貨店から離れる事はしなかった。


「パン屋さんへ行くけど 一緒に来ない?」

末娘のケイがドアを開けて出かけようとしながら、ふと振り返って誘った。

「いえ 私は・・・」

「ずっと閉じ篭もっているでしょう、青白い顔をしているわよ」
「いいお天気だし たまには外に出ないと」

ウォルフはこの2日間何処かに出かけている。

よくそうやって数日間居なくなるのは、遠くの村まで人を襲いに行っているのではないかとアラバマは思っていた。

何故そんな面倒臭いやり方をするのかわからないが、この村の住民を襲うつもりは無いようだ。

彼は居ないし 少しだけなら・・・。

彼女はケイと一緒に出かける事にした。

                    ж

パン屋で必要なものを買い、帰る途中であの大きな屋敷の前を通りかかった時、ケイが立ち止まって言った。

「この村は昔 人狼に襲われた事があるのよ」

アラバマは真っ青になって手に持っていたパンの袋を取り落とした。

「あら嫌だ そんなに驚かないで、ずっと昔の話よ。私が赤ちゃんの頃だもの」

そう言いながら人の住んでいない大きな屋敷を指差す。

「ほら ここに住んでいた家族が襲われたの」

つづく
               
               UO ウルティマオンライン
by keropu | 2008-10-09 18:15 | ■小説

【小説】 深緑の森 2

「その腕の傷の事を覚えているか?」

ある晩、少しでも冷たくなった手を温めようと、焚き火に伸ばした腕を見て
ウォルフが探るように聞いた。

腕には大きく醜い傷跡が痛々しく刻まれている。

「お前に咬まれた」

アラバマが小さく呟くと

「そんなに火にかざしていると 私の為にその手を料理しているのかと思って食ってしまうぞ」

そう言って怪物は大きな牙をむき出して笑った。

「前に一度食いかけた腕なのだからな」

咬まれた時の事は、あまりに幼かったのでよく覚えていないが、確かに目の前にいる化け物の巨大な牙が腕に食い込んだ記憶がある。

とても痛くて泣き叫んだ。
そして安心できる誰かにしがみついていた。
あれは・・・・
あれは・・・・?

「もう寝ろ 明日は一日中歩くのだ ふらふらされては足手まといだ」

何かを思い出そうとした時、ウォルフの声がそれを邪魔した。


夢の中でアラバマは深い緑の森にいた。
あまりに濃い緑。
誰かが見つめている。
愛おしげに自分を見守る眼差しを感じる。
幼い自分はとても安心して遊んでいる。
腕はとても痛いけど もう大丈夫。
この緑深い森の中にいれば・・・。

                    ж

新しい村に着き、人の振りをしたウォルフが夜の闇に紛れて村人を襲い
怪しまれる前に姿を消す。

そしてまた次の村を目指す。
そんな日々が何年も続いた。

ウォルフの正体に気付いた人々の、少女に対する反応はまちまちだ。
助けようとする人。
化け物と一緒に居る狂った人間だと罵る人。
お前も化け物だろうと怯える人。

同じなのはその誰もがもう生きてはいない事だ。

殺戮と絶望の毎日の中で
いつしか助けを請う事をやめ
逃げ出すことをあきらめ
ただただ繰り返し夢に見る深緑の森にだけ安らぎを求めた。

一面の緑
唯一の聖域
とても静かで穏やかな場所
そこに居る時だけは笑うことができる

                    ж    

寒い寒い冬が来た。
その年は特に寒く、雪もよく降った。

ある吹雪の夜、寒さと空腹で朦朧としながら歩くアラバマに、ウォルフが言った。

「ふむ 道に迷ったようだ」

「もう村が見えてもよいはずなのだが、この吹雪で方向を見失ったらしい」

もう長くは歩けない。
足が言う事をきかない。
それでも何歩かよたよたと歩き
アラバマはその場に崩れ落ちた。
         

懐かしい匂いがする。
小さな頃いつもこの匂いに包まれていた。

ずっと欲しかったものが手に入った喜びでいっぱいだった。
やっと・・・やっと。


目を覚ますと、そこは狭い洞窟の中だった。
すぐ目の前の入り口から、外の吹雪が吹き込んで来ている。

しかし彼女は暖かいふかふかの毛皮にくるまれていて、ちっとも寒くなかった。

見るとウォルフが丸くなって自分を包み込んでいる。その毛に血が固まってこびりついているのが目に入った。前の村で食いちぎった女性の血だ。ぞっとしてもがいていると怪物が目を開けた。

「離れてもいいが凍死するぞ。カチカチに凍って歯が立たなくなる前に食ってやろうか?」

アラバマはもがくのをやめてじっと身を竦めた。

寝ているとき懐かしい匂いがした気がする。でも今、自分を包んでいるこの汚らわしいものは血生臭くて吐き気がする。

血の付いた毛から顔をそむけ、硬く目を閉じて歯を食いしばる。
それでも体はとても暖かかった。

                    ж

雪が冷たい雨に変わり、容赦無く服を濡らし、わずかに残った体温を奪い去る中、二人は歩き続けた。

体に流れる血の一滴まで凍りついたと思える頃、ようやく木々の合間から煙の出る煙突が見えた。

「どうやら運よく村に着いたようだぞ」

この村にとっては決して運がいいとは言えないだろうが、疲れ果てたアラバマは一刻も早く暖かいベッドに倒れ込みたかった。

しかし村に足を踏み入れたウォルフは考え込むように辺りを見回し、一軒の大きな屋敷に目を留めるとそのまま村の出口に向かって歩き始めた。

「この村には泊まらない 他の村を探す。宿屋も無いようだしな」

アラバマは疲れと絶望でよろめいた。

確かに宿屋は見当たらないが、先程の大きな屋敷は長い事誰も住んで居ない空き家のようだ。庭の草はぼうぼうで 、門には蔦が絡まっている。窓ガラスは割れ、壁があちこち崩れ落ちている。

今までも廃墟や空き家に入り込んで夜を過ごしてきたではないか。
何故せっかく辿り着いた村を見逃すのだろう。
ウォルフだってもうここ何日も食事をしていない、空腹のはずだ。

あの屋敷で少し休みたい

そう言おうとしたが、必死で思い留まり黙って歩き続けた。

何の気まぐれか、すきっ腹の怪物が誰の事も殺さずにこの村を出ようとしている。

一人の犠牲者も出さずに。

ここに留まるように言えばそれは、この村の誰かを襲えと言う事だ。
そんな事は出来ない。

雪混じりの雨に全身ぐっしょりと濡れ、ほとんど感覚の無くなった足を引きずって同じように重い足取りで歩くウォルフの後に続いた。


村の外れまで来た時、一軒の雑貨屋から人が出てきて二人に声をかけた。

「おおい こんな酷い天気の中どこへ行こうというんだい」

黒いフードの陰で残忍な眼が光る。

アラバマはウォルフが声をかけてくれた人間に、今にも襲いかかるのではと思った。

(早く逃げて もう一度家の中に入って鍵を掛けて!このまま私達を大切な村から追い出しなさい)

しかし彼女の願いも虚しくその若い男は近寄ってきた。

「この村には宿屋が無いけど、よければうちに泊まるといい。もうすぐ日が暮れる、こんな雪混じりの雨の中 野宿するわけにもいくまい」

ウォルフはじっと黙っていたが、ふとアラバマの方を見て、少女の目に映る恐怖の中に暖を取れるかも知れないという希望が入り混じっているのを見て取ると

「ありがとう お言葉に甘えるよ」

と言って男の後についていった。

つづく
               
               UO ウルティマオンライン
by keropu | 2008-10-09 02:20 | ■小説

【小説】 深緑の森 1

アラバマは森に建つ廃墟の中で、震えながら息を潜めていた。
激しく降る雨音の中にそれが聞こえるのを、耳を澄ませてじっと待っている。

戻って来ませんように 戻って来ませんように

冷え切った両手を祈るように握りしめ、膝に頭をうずめる。 

しばらくして、ついに雨の音に混じって聞きなれた重い足音が近づいてきた。廃墟の壊れかけた戸が開き、恐怖に目を見開く彼女の前にそれは現れた。

「もう行くぞ ここに用は無い」

全身を覆う真っ黒な毛から雨を滴らせながら、ウォルフは血の付いた鍵爪で少女の細い腕を掴んだ。

                    ж

いつからこの黒い化け物と共に旅をしているのだろう。アラバマが物心ついた時にはこの怪物は、彼女を連れてあちこちの村を襲っていた。

人狼と呼ばれるこの怪物は、人の姿になる能力を持っていた。

人間の時のウォルフは端正な顔立ちではあったが、冷酷過ぎる眼差しと2メートルを超す背丈、真っ黒なフード付きのマントを羽織る様は、彼女にとって本来のウォルフと大して変わり無い程恐ろしかった。

それでもせめていつも人の姿で居てくれたらいいのに。
何故夜になると元の狼に戻ってしまうのだろう。

巨大な体を覆う黒い毛と鋭い鍵爪、血生臭い息を吐く化け物と同じ部屋で眠るのは悪夢だ。

冷たい雨の降る真っ暗な森の中をその怪物と歩きながら、少女は胸にかけたペンダントを握りしめた。

パパ ママ・・・。

                    ж

ずっと首に下げていたペンダントに写真が入っていると気付いたのは、アラバマがだいぶ大きくなってからだった。

何度も逃げ出そうと試みていた彼女は、その日も怪物から逃げようと森の中を走っていた。そして後ろから追って来たウォルフに突き倒され、転んだ拍子にペンダントの蓋が開き、両親の写真が入っている事に気が付いたのだ。

その写真を見たウォルフは怒り狂い、ペンダントを取上げようとした。しかしアラバマは全力で抵抗し、これを取られるくらいならその場で喉を掻き切って死ぬと泣き叫んだ。

怪物は全てを飲み込む闇のような瞳を怒りで燃え上がらせながら、それでもペンダントを奪い取るのを最後には諦めた。

彼女がウォルフを真っ向から睨み付けたのはその時だけだ。

目の端に映るだけでも恐ろしいその姿を直視しようとした事は後にも先にもそれっきりだった。

                    ж

遠くに明かりがぽつぽつと見え、新たな犠牲者達の住む村に到着した事がわかった。いつの間にか怪物は人間へとその姿を変えていた。

宿屋へ向かっている事に気付いて少しほっとする。少なくともこの冷たい雨の中、真っ暗な森に建つ廃墟で化け物と二人きりで夜を過ごさずに済む。


宿屋の主人は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに愛想笑いを浮かべ2人を二階の部屋へと案内してくれた。ウォルフの差し出した余分過ぎる金貨に目が眩んで、怪しい風貌などどうでもよくなったのだろう。

それが自分の命を縮めるとも知らずに。

久し振りの暖かいベッドに潜り込んで、ウォルフに気付かれないようにアラバマはそっとペンダントの蓋を開けた。

そこには若く美しい女性とハンサムな男性が、寄り添って幸せそうに笑っている。女性の薄いブルーの目と、男性の艶やかな栗色の髪が自分に受け継がれているようだ。

この二人をかすかに覚えている気がする。しかし見覚えがあるというだけで他に何の思い出もない。

ただ。

深緑の森の中で、自分がとても暖かく愛情に溢れた眼差しで見守られていた記憶だけが残っている。

あの時見つめてくれていたのはパパ?ママ?

写真の中の二人に心の中で話し掛けながら、いつしか疲れた体は深い眠りへと落ちていった。その目からは一筋の涙が頬を伝っていた。

                    ж

翌朝、宿屋の主人が朝食を運んで来た時には、ウォルフはもう何処かに出かけた後だった。

主人はお盆を手にそっと部屋を覗き、おどおどした少女だけが居るとわかると安心して部屋に入ってきた。

テーブルに二人分の朝食を置き、彼女に笑いかけながら薄暗い部屋のカーテンを開ける。

「雨がやんだよ いい天気だ」

そして朝日を浴びてよく見えるようになった少女の首一面に、ぐるりと痣があるのを目敏く見つけた。

「おやおや どうしたんだい?それは・・・・あの男に?」

アラバマは助けを求めたい衝動に駆られたが、すでに主人が厄介事に首を突っ込みたく無いと思い始めている気配を察して首を横に振った。

「いいえ なんでもないんです」
「そうかい まあ朝食を楽しんでくれ」

もし主人がもっと熱心に手助けをしようとしてくれたとしても、彼女は尚更それを拒否しただろう。ただの人間があの化け物に勝てるなどという幻想はとっくに捨てている。


ある村では、腕の立つ戦士が彼女を助けようとしてくれた事もあった。ウォルフが居ない間に一人の戦士が彼女の元にやって来て力強く励ました。

「もう大丈夫だよ 私は今まで沢山のモンスターと戦ってきた。あいつは化け物なんだろう?今夜私が奴を倒す。夜が明けた時 君はもう自由だ」

しかし 
そう言った戦士は
彼女の目の前で
引き裂かれ
放り投げられ 
物言わぬ屍となり

返り血を浴びて座り込んだアラバマを、ウォルフが強引に引き摺って次の村へと旅が続いただけだった。


「その首の痣は私がお前をさらった時につけたものだ」

夜に村を襲いに行くまでの間、夕闇が近づく森の中である時ウォルフがそう言った。

「お前の両親を殺し 小さなお前も殺そうと首を捻りかけたのだ」

その痣はその時ついたものだ、とウォルフは言った。
そして事有るごとにその話を繰り返した。

                    ж

朝食を運んでくれた宿屋の主人は、夜にはウォルフの夕食になってしまった。

階下で大きな物音と悲鳴が聞こえ、アラバマがその断末魔を聞くまいと耳を塞いでベッドの中で震えていると、血まみれの狼が部屋に入ってきた。

「もう行くぞ ここに用はない。」

彼女が動かず頭を抱えてベッドの中に縮こまっていると、鋭い鍵爪が羽根布団を引き裂いた。

羽毛が部屋中に舞い上がり、悲鳴を上げるアラバマを引きずり出してウォルフが部屋を出ようとすると、騒ぎを聞きつけた村の男達が手に武器を持って飛び込んできた。

「その少女を放せ!」

そういい終わるか終わらないうちにその男は吹っ飛び、壁に叩きつけられて絶命した。

慌てて逃げ出す他の男達を長い鍵爪で引き裂きながら、ウォルフは村を後にした。

「おまえがさっさと動かないから新たな犠牲者が出たのだ」
「すぐに村を出ていればあの男達は死なずに済んだ」

血まみれの怪物は、放心し人形のようにだらりとなった少女を引きずって歩きながらそう言った。

「私の命令に素直に従うか私を倒す技術を身につけるか、そのどちらかを選ぶがいい」

そして吼えるように高笑いをした。

つづく
               
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by keropu | 2008-10-08 07:32 | ■小説